- 田内 志文
- 2010-05-24 (月)
- 小説
11、
マヤも、楽しくてたまりません。世界でただひとり自分だけが、あんなおかしなケモノさんと友達なのだと思うと、なんだか自分が特別になったような気持ちになり、体の底から力が湧いてくるような気がするのです。
ですが、このところマヤは体の調子がよくありません。昼間もベッドから出られない日がずいぶんとあるのです。暁の獣と出会ったころよりもさらに痩せ、頬には頬骨の形がくっきりと浮かんでいます。ときどきひどく息苦しくなって咳き込むのですが、咳をすると、まるで体が折れてしまうようにつらいのです。
それでも彼女は毎朝、窓辺に椅子を引きずって行っては窓を開け、獣がやってくるのを待っていました。さらにしばらく経つころには、もうそのほんのわずかな間しかベッドを出られなくなってしまっていたのですが、彼女はなんとかかんとか窓辺に腰掛けて、暁の獣と話をし、ヴァイオリンの音色に耳を傾けるのでした。
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